卒業生×在学生 SPECIAL TALK

卒業生×在学生

SPECIAL TALK

02

その場の全員が共鳴して生まれる
圧倒的な空気感をつくりたい

PROFILE

卒業生

姫本 梨央さん

音楽座ミュージカル 俳優/プロデューサー(熊本県・玉名女子高等学校 出身)

ミュージカル学科出身。在学中、NHK紅白歌合戦、ももいろクローバーZ桃神祭にバックダンサーとして出演。2016年4月より音楽座ミュージカルに参加。出演作品に「リトルプリンス」「とってもゴースト」「ホーム」など。

在学生

菊地 美結さん

※学年等は取材当時のものです。

MESSAGE 01 「好き」だから気づいた
ミュージカルと吹奏楽の共通点。

菊地:ミュージカルの道を選んだきっかけを教えてください。

姫本:もともとミュージカルなんて観たこともなくて、中学・高校時代は吹奏楽に打ち込んできました。吹奏楽が盛んな高校に進学してからは、朝から晩まで練習する毎日。けれど、上達すればするほどに「私、向いてないな」と考えるようになったんです。楽器の道ではなく、何をしよう。将来を考えたときに頭に浮かんだのは、宝塚歌劇の舞台でした。目に見えないけど心にグッと来るとか、鳥肌が立つとか、観る人と共鳴しあう感覚というのは、ミュージカルも吹奏楽も一緒かもしれない。それに気づいて「ミュージカルをやってみたい」と思い立ったのが、この道を選んだきっかけですね。母に相談したところ「どうせやるんなら東京でやりなさい」と背中を押され、SHOBIに進学し、今に至ります。

菊地:私も吹奏楽をやっていたので、よくわかります。

姫本:ミュージカルで気持ちいい瞬間って、楽器を演奏しているときと似ているんです。周りと音を揃えるというよりは、一人ひとりの熱量が盛り上がって共鳴している感覚。その場にしかない空気感が私は好きなんです。

菊地:まだ自分が演じる経験は少ないですが、ミュージカルを観ていて、そんな空気感は感じます。

MESSAGE 02 苦手だからこそ
前に出る勇気を。

菊地:ダンスには様々なジャンルがあって、どうしても自分の得意・不得意で差が出てしまいます。在学中、限られた時間の中で、どのように技術を高めていたのでしょうか。

姫本:私もダンスは苦手で、そもそも未経験でした。在学中は、技術以前に「ダンスが踊れる体をつくること」に集中していましたね。時間さえあれば体力トレーニングをしたり、授業で教わった振り付けをその日のうちに何回も練習したり。体力をつけていくうちに、何となく体の使い方がわかってきましたね。今では、ジャンルが違っても体の使い方はどれも同じだと考えられるようになりました。

菊地:表現力はどうでしょうか。

姫本:魅せ方はとにかく研究ですね。鏡を見ながら、ああじゃないこうじゃないって試行錯誤を繰り返したり、授業中に自分の動きを動画に撮って後から見返したり。

菊地:私もダンスの経験がほとんど無くて、苦手意識があるんです。とにかく自信が持てなくて、今後オーディションを受けていくのが心配で・・・

姫本:私もまったく同じでしたよ。特にバレエのクラスでは、うまくできない自分が悔しかったな。だから、できるだけ上級者の人に声をかけて、一緒に練習するようにしていました。

菊地:やっぱり上手な人の隣で踊ると変わりますか。

姫本:全然違う!鏡を見れば、自分のできていない部分がわかりますから。自分で「かっこわるいな」って思いながら、それでもダンスの授業では鏡の前を確保するようにしていました。ダンスが苦手だと、つい教室の端に行きたくなるけれど、その気持ちをグッとこらえて、前のほうで自分と先生を見比べながら練習していましたね。

菊地:授業以外でも人と一緒に練習していましたか。

姫本:はい、スタジオの数は限られているので、私の代では一緒に練習することが多かったです。BGMもスピーカーからは一人しか流すことができないので、誰かが曲をかけると「じゃあ私も」という流れで、結局みんな踊ってるなんてことがよくありました。「この曲が流れたら筋トレタイム」みたいなノリで、食事中でも誰かが曲を流したら筋トレしたり。そんな遊びみたいな感覚で、いつもスタジオを使っていましたね。

菊地:楽しむことも大事なんですね。

姫本:楽しくないとできないと思う、筋トレは特にね(笑)

MESSAGE 03 自分のことばかり意識していると、
演技が小さくなる。

菊地:オーディションを受ける際のアドバイスはありますか。

姫本:「稽古して、不安要素は減らして、できるだけ楽しむこと」です。さまざまなオーディションを受けて、ダメだったのは決まって自信が無いときでした。振りが覚えられず不安だったり、学内オーディションで知り合いと比べて「自分ダメかも」と思ったり。その瞬間、演技もダメになっていました。

菊地:やはり自信を持つことで自分をよく魅せられるのでしょうか。

姫本:そうですね、全然違います。恥ずかしいとか、今どう見られてるとかを気にせずに、とにかく自分が楽しもうと思って演じたほうが良いです。もちろん自信を持つためには、そのぶん稽古は必要ですよ。

菊地:はい、練習を積んでいきます。役を演じるうえで気を付けていることはありますか。

姫本:私が常に意識しているのは、「相手をみる」と「自分を捨てる」です。今のカンパニーに入って、お芝居とはコミュニケーションだと考えるようになりました。コミュニケーションだから、舞台で向き合っている相手のことを思いやる必要があります。でも、自分の足の上げ方や、回り方、踊り方ばかり気にしていると、演技が小さくなってしまう。もっと作品全体を考えて、今この瞬間の自分は何を思って存在しているのかを意識することを大事にしています。

菊地:世界観に入り込む、ということでしょうか。

姫本:そうですね。その世界にどっぷり入るのもそうだし、あとは自分を信じること。心の持ち方ひとつでこんなに変わるんだって、自分でも驚きますよ。

MESSAGE 04 演じるだけではない
ミュージカルという仕事。

菊地:SHOBIでの経験で、今に活きていることはありますか。

姫本:私たちのカンパニーでは、衣装や小道具をつくったり、音出しをしたり、舞台の仕込みからバラシまで自分たちも関わっていくのですが、SHOBIではそれらも学ぶことができるんです。衣装の布を買ってくるところから、ミシンで縫うところまで、友人と一緒にああしようこうしようと話しながらつくり上げていく過程を経験できたことは、今でも本当に役立っています。どうしても「こういうことをやるつもりじゃない」「俳優だけやりたい」と考える人もいますから。

菊地:現場に触れることで、「ミュージカルの仕事ってこうなんだ」というのが実感できるのかもしれませんね。

姫本:在学中から、俳優の仕事は演じるだけじゃないと何度も教わっていました。どこの劇団に所属しても、最初は仕込みやバラシをやらなきゃいけない、裏方の仕事も覚えておかないと新人としてやっていけないと、ずっと言われていましたね。裏方の仕事を知ることは、演者としてのスキルにもつながると思います。例えば、シーンに合わせて音を入れるには、俳優と同じ気持ちにならないと掴めない繊細なタイミングが必要です。貴重な経験を在学中から積むことができる点は、SHOBIの良さのひとつですね。

MESSAGE 05 経験したこと、感じたこと、
全てが将来の役に立つ。

姫本:これから音楽やエンタメの世界を目指す方は、何でも思いついたことは一度やってみてください。自分は、やりたいなと思っても行動できなかったり、お金が無いから観に行くのを諦めたりしたことが色々とあります。当時の先生から「借金してでも観に行け」と言われていたことを、今になって痛感しているところです。もっといろんな本を読んだり、いろんな作品を観たりしておくべきでした。さまざまな経験を通して、これは素敵だなと思うことや、逆に嫌だなと思うことを、たくさん感じてほしいと思います。

菊地:やってみる前から「これは違う」と判断するのはもったいない、ということでしょうか。

姫本:そうなんです!興味が持てない作品でも、観に行ってみると意外と面白かったり、なんで面白くないんだろうって考えたり。何かのきっかけになればいいと思いますよ。

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